書くことは、呼吸をすること。
ー碧月はるーHaru Aotsuki
HSC(ひといちばい敏感な子)の子育て

涙に良いも悪いもないのに。

次男は幼稚園が好きではない。登園前には必ず顔が曇り、「行きたくないなぁ」と呟く。
友達とのトラブルや先生への不満があるわけではない。単純に私と一緒にいたい気持ちが半分、大勢の子どもの中にいると疲れてしまうのが半分というところだ。

次男は長男と同じく*HSCである。

*HSCについてまとめたブログです。詳しくはこちらをご覧下さい。

長男よりも大勢の刺激に対する耐性が強くない次男は、幼稚園でお友達が喧嘩したり泣いたりするのを見ているのがとてもしんどいらしい。それを分かったうえで、ある程度大丈夫そうなときには背中を押すこともある。しかし、未だそのさじ加減が分からず、今でも毎日四苦八苦している。

受け入れて休ませるべきなのか。
背中を押して行かせるべきなのか。

結局は子どもの様子を見ながら自分で判断するしかない。自身もHSPで気持ちが分かるからこそ、いつもここで迷ってしまう。

自身のなかに迷いがあるときの子どもの泣き声は、何故かストレスになる。責められているような気持ちになり、イライラする。

今朝も行き渋っていた次男が泣き出したとき、私はつい不満を漏らした。

「毎朝そうやってグズグズするよね」

チビは涙を拭く手をとめて私を見つめ、大きな声で言った。

「グズグズじゃない!グズグズじゃないもん!」
「幼稚園に行きたくないっていう気持ちだもん!」

ハッとした。

そうだよね。『グズグズ』なんて言葉で括られたら、嫌だよね。
ちゃんと、その時々に伝えたい気持ちがあるんだよね。

まだまだ少ない語彙力の中で、懸命に伝えてくれた息子。その顔は必死で、目から溢れる涙は首筋にまで伝っていた。

「おいで」

小さな身体を抱き締める。柔かな髪を撫でながら、「ごめんね……」と呟いた。

大人はいつも勝手だ。勝手な言葉で子どもの感情を押さえつけて、勝手に色分けして面倒なものと良いものとに分ける。全て必要で自然な感情なのに、自分にとって手間のかかる感情を『面倒なもの=駄々をこねる』と認識してしまう。

抱きしめて話をして、絵本を読んで、少し遅れて登園した。お迎えに行ったとき見せてくれた顔は、元気ないつもの次男だった。

何にだって理由がある。上手く言葉に出来ないだけだ。そんなの、子どもに限った話じゃない。

私自身、言いたいことがスラスラ出てくるタイプの人間じゃない。文章なら書けるけど、口で話すのは時間がかかる。色々な想いが頭の中でとっ散らかって、上手く言葉に変換出来なくなってしまうのだ。だからこそ、時間をかけてこうして文章に起こしている。

『幼稚園に行きたくないっていう気持ち』

伝えてくれてありがとう。

お母さんも、下手くそなりに君たちに気持ちを伝えていきたい。

まずは、「ありがとう」から。

こちらのエッセイは、noteに公開している作品をリライトしたものになります。noteで週に3~5本程度、エッセイ、小説を執筆しています。よろしければそちらも合わせて読んでいただけたら、とても嬉しいです。

ABOUT ME
碧月はる
エッセイスト/ライター。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。『DRESS』『BadCats Weekly』等連載多数。その他メディア、noteにてコラム、インタビュー記事、小説を執筆。書くことは呼吸をすること。海と珈琲と二人の息子を愛しています。