花色のなかでは、白にもっとも惹かれる。理由は特にない。幼い頃から白花がすきで、それが「なぜなのか」を考えることもなく、この年になった。
先日、旅先で仙人草(センニンソウ)を見かけた。つる性の多年草であるこの花は、茎を勢いよく伸ばした先で無数の白花を咲かせる。仙人草の別名は、「ウマクワズ(馬食わず)」。物騒な名前から想像がつくように、茎や葉の汁、濡れた花粉は有毒性である。
繊細な雰囲気を持ち、あたり一面に甘い香りを放つ仙人草。美しい植物が毒を孕む――その二面性に強烈に吸い寄せられる私は、やはりどこか歪んでいる。