書くことは、呼吸をすること。
ー碧月はるーHaru Aotsuki
海のことば、空のいろ

【創作のパートナーと、ゆるやかに手を携えて】

絵を描きたい。壁一面に、指先で色を伸ばし、その匂いと感触にまみれたい。できれば、水性のものより粘度が高く、独特の風合いを持つ油絵具がいい。

中学の頃、選択授業で美術を選択していた。油絵具を重ね塗りして、削りとる作業がすきだった。専用のペインティングナイフを使わず、爪で削るのが私の癖だった。指にべったりと絵の具がこびりつき、爪の間でぎゅうぎゅうと色がひしめき合う。あの圧迫感と汚れ具合が、持て余し気味の凶暴な衝動をゆるやかに鎮めてくれた。

ABOUT ME
碧月はる
エッセイスト/ライター。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。『DRESS』『BadCats Weekly』等連載多数。その他メディア、noteにてコラム、インタビュー記事、小説を執筆。書くことは呼吸をすること。海と珈琲と二人の息子を愛しています。