書くことは、呼吸をすること。
ー碧月はるーHaru Aotsuki
海のことば、空のいろ

【花の雨降る、春の宵】

雨の日は、外出が億劫になる。でも、雨はすきだ。雨露に濡れた植物が潤う様を見ると、こちらの気持ちまで豊かになる。雨の音、雨の匂い、雨の日の空の色、それらすべてが、私はすきだ。

花びらの窪みに、滴が溜まる。透明なそのひと滴が、草花の命をつなぐ。カメラのファインダーから覗き込むのと、肉眼で見るのとでは、少し色が変わる。どちらから見た景色も、それぞれの趣がある。肉眼には肉眼の良さが、レンズにはレンズの良さがある。雨も晴れも、レンズも肉眼も、他のあらゆる事象において、私たち人間は、得てして“良し悪し”を決めたがる。どちらが“すきか”だけでいいのに、自分の“すき”を“正しい”と思い込む。そういう小さな勘違いが、あちらこちらで歪みを生んでいる。

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草花は物を言わない。でも、それはもしかしたら、私たちに聞こえていないだけなのかもしれない。森にはこだまがいて、森を守る主がいて、植物たちはそれぞれに通じる言葉でしっかりと会話をしている。時々、そんな世界を想像する。

彼らから見て、私たち人間はどう写っているのだろう。驚異の存在だろうか。それとも、ただ単に滑稽な生き物に見えているだろうか。

ABOUT ME
碧月はる
エッセイスト/ライター。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。『DRESS』『BadCats Weekly』等連載多数。その他メディア、noteにてコラム、インタビュー記事、小説を執筆。書くことは呼吸をすること。海と珈琲と二人の息子を愛しています。