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アダルトチルドレンからの再生

虐待の連鎖~負の連鎖が起きる要因と、回避に必要なプロセスについて

またやってしまった。また同じことをしてしまった。毎日毎日自己嫌悪に陥っては、明日は絶対にやらないと誓う。

そんな自分に悩んでいる。『親のようになりたくない』と思いながらも、気が付くと同じことをしてしまっている。

負の連鎖は何故起こるのか。何故、止められないのか。

今日は連鎖が起こりやすい要因と、それを回避する為に必要なプロセスの道筋をお話していきます。

※私は医師でもカウンセラーでもありません。自身の経験やカウンセリング、書物を通して学んだことを自分の言葉で発信しています。緊急性の高い状態である場合、ご自身でプロセスを行うことが不可能なくらいの衰弱、または錯乱が見られる場合は、専門医への早めの相談をお薦めします。

満たされていない承認欲求、育まれない自己肯定感

産まれてすぐの心の器が、ガラスのコップだとしましょう。コップには二種類あって、一つはお水をなみなみと満たしておきたいもの、もう一つはなるべく空に近付けておきたいものが存在します。前者を陽(プラス)のコップ、後者を負(マイナス)のコップとします。

前者のコップには、陽(プラス)のイメージのお水が入ります。愛情、友愛、称賛、肯定、共感。そういったもの達で満たされたコップは、綺麗な水をたたえてあなたの心を潤します。

子どもの頃のコップがきちんと満たされている人は、器がガラスから更に丈夫なものへと変化していきます。ちょっとやそっとじゃ壊れない、ホウロウのコップになっている方もいるかもしれません。そういう人たちはお水が溢れてしまったり漏れて目減りすることはほとんどなく、新たなお水も余すところなく受け取れるようになっていきます。

これが、よく言われる『自己肯定感』です。

しかし虐待を受けて育ってきた人たちは、このコップが満たされるという経験が明らかに少ない、もしくはゼロに近いというのが現実です。

満たされることのないコップは、次第に乾いてひび割れ始めます。そうすると、仮に親以外の人たちからプラスのお水をもらえても、すぐに漏れだしてしまうのです。

野球のキャッチボールと同じで、経験者にとっては難なく受け取れるものでも、経験がなければ取りこぼしてしまう。受け取りたくて必死なのに、どうしても上手くいかない。そういう悪循環が起きてしまうのです。

そうしてガラスのコップはお水が満たされることなく、たまに入れてもらえてもすぐに漏れ出してカラカラに乾いてしまいます。

ご自身の感覚的なもので、他人からの愛情に貪欲であると感じたことはありませんか?与えられているのに、『もっともっと』と思う。相手も最初は一生懸命与えてくれるけれど、次第にそれが重荷になり離れていく。そういう方は、コップが空の状態があまりにも長く続いた為にそうなっている可能性が強いのです。

満たされていないのに、与え続けることは果たして出来るのか?

育児は、『与える』ことを求められます。もちろん親の側が与えられていることの方が実際には遥かに多いのですが、そのことに気付けて受け取れているならば、負の連鎖が起きる心配はまずないと思っていいでしょう。

それが出来ない状態であるからこそ悩んでいるし、苦しんでいる現状がある。そして、それはあなたのせいでは決してないのです。

泣いたら抱く。汚れたオムツを替える。お腹が空いたら食事を与える。笑いかける。話しかける。大好きだよ、と伝える。

こういったことの繰り返しで、子どもの心と身体は健全に育っていきます。コップも日に日に丈夫になることでしょう。

しかし、喉が乾いて乾いて仕方のない状態の人が、その渇きに飢えたまま与え続けることが、果たして出来るものでしょうか。

私は、難しいと思います。

『親なんだからやって当たり前』

そんな声が聞こえてきそうですね。そう、それは確かにその通りです。親になったからには、やるべきです。我が子を守るべきです。

しかし、手負いの状態で果たして何処まで闘えるものでしょうか。そんなアンバランスなことを繰り返しても、数日と持たずに破綻するのは目に見えています。

必要なのは、プロセスを踏むことです。

目の前の我が子をほったらかして良いわけでも、ご自身の望みだけを追い求めて良いわけでもありません。

親であるあなた。大切な我が子。

その両方のコップを満たすことは、必ず出来ます。

子どもと自分との分離、『個』としての存在を認める重要性

まず、意識の中でご自身とお子さんとを一度切り離しましょう。

あなたはあなた、お子さんはお子さんです。親子ではありますが、全く別の『個』の生き物です。そのことを、しっかりと認識しましょう。

紙に人形(ひとがた)を書いて、それを視認するのもお薦めです。人形の中に名前を書き、思い付く特徴を書いていきます。もちろん共通する部分もあるでしょう。しかし、全く違う部分も必ずあるはずです。

お子さんは、あなたではなく。あなたも、お子さんではない。

それぞれが、尊重されるべき『個』の人間なのです。子どもは親の所有物ではないし、ストレス発散の捌け口でもない。ましてや、ご自身が与えられなかったことへの怒りをぶつけてもいい対象ではないのです。

そのことを誰よりも分かっているのは、サバイバーであるあなたなはずです。

自分の中の子ども(インナーチャイルド)との対面、感情の吐き出し

次に、ご自身の中にいる『子ども』に目を向けてみてください。心理学用語では『インナーチャイルド』と言われているものです。過去の自分、昔の幼少期、思春期の自分です。

※インナーチャイルドは、あなたのお子さんとは違います。それを忘れずに意識しましょう。

あなたは、何を感じていましたか?

あなたは、何が辛かったですか?

その当時の自分に会えたら、何て声をかけますか?

その全てを紙に書き出してみましょう。安全やプライバシーが確保されているなら、声に出しても構いません。嫌だったこと、止めて欲しかったこと、聞きたくなかった言葉、思うままに吐き出していいのです。

辛くなったら無理をせず中断しましょう。ゆっくり焦らず、ご自身のペースで吐き出していくことが大切です。

虐待被害に合った人の心は、深い悲しみと怒りに満ちています。両親への憎しみ、怒り。誰も助けてくれなかったことへの怒り。誰にも打ち明けられない、共有されない悲しみ。

そういったものを抱えたまま『我が子を優しく慈しみなさい』と言われても、理性では理解出来ても感情が追い付きません。

まずは吐き出して自分の抱える感情に向き合うこと。そのことにより、負のコップは空に近付きます。周りから多少のマイナスイメージを投げ込まれたとしても、簡単に溢れることは無くなっていきます。また、投げ込まれたそれらも先ほど説明した方法でゆっくり減らしていくことが出来ます。

痛みは残るかもしれませんが、それも少しずつ落ち着いてきます。

自分の中の子ども(インナーチャイルド)の欲求を満たし、温める

次に、与えるプロセスに入ります。

先ほど負のコップを空にしました。次は、陽のコップを満たしていきます。

言われたくなかった言葉。これに対して、本当はかけて欲しかった言葉を書き出していきます。

例)『お前なんか要らない』と言われて悲しかった。→『あなたが産まれてくれて嬉しい』と言われたかった。

このようなイメージです。

そして、その欲しかった言葉や行動(ハグする、寄り添う等)を、あなた自身があなたの中にいる子どもへかけてあげてください。

自分で自分の身体に腕を回してハグをするイメージで、目を閉じて行うと染み込みやすいと思います。もちろん、決まりはありません。好きな体制、好きなやり方で行いましょう。

これを繰り返すうちに陽のコップのひび割れも治り、曇りも取れて頑丈になっていきます。そうすると、他者からのプラスイメージも受け取りやすくなっていきます。

おそらく、ご自身の経験を『仕方のないこと』と捉えてきた方が多いと思います。私自身もそうでした。

過去は変えられない。仕方ない。親は選べない。辛くても耐えるしかない。

随分長い間、そう思って生きてきました。それが辛すぎて、生きることそのものを止めてしまおうとしたことも何度もありました。

しかし、このプロセスを踏んでしばらく経った頃に強く感じたのは、『仕方なくなんてない!』という思いでした。

仕方ないわけないんです。あなたは大切な一人しかいないあなたなのに。理不尽に虐げられて、傷付けられて、それが『仕方のないこと』だなんて、そんなことあるわけがないのです。

負のコップを軽くする。陽のコップを修復して満たす。そのことにより、自尊心を取り戻すことが出来ます。あなたの中の子どもを温め、涙を止めることが出来ます。

それさえ出来れば、今度はあなたの目の前にいる我が子に向き合う番です。大丈夫。今のあなたは、渇ききって喉が焼けつきそうだったあなたとは違います。

喉は潤され、心も温められているあなたなら、我が子の心にもきっと寄り添うことが出来ます。

大切なのは、最初から完璧を求めないことです。サバイバーに限らず、子育ては一筋縄ではいきません。毎日変化し、毎日試行錯誤、睡眠もなかなか取れない日もあるでしょう。いっぱいいっぱいになってパンクしそうになったとしても、むしろそれが当たり前です。

それだけあなたが、我が子に向き合っている証です。頑張っている証です。自分をしっかり褒めましょう。

最後に。子育てに悩むお母さん(お父さん)が近くにいる方へのお願い

子育てに悩んでいる家族や友人が近くにいたら、ぜひこう声をかけてあげてください。

『頑張ってるね。お疲れさま。』と。

決して、責め立てたり無能呼ばわりするようなことはしないでください。

養育者の心の余裕は、そのまま子どもの心の余裕に繋がります。もし違和感を感じたら、放っておくのではなく声をかけ続けてあげてください。

圧力になるような接し方はNGですが、温かい寄り添いは救いになります。

連鎖は、必ず止められます。たった一人しかいないご自身を大切にすること。あなた自身が、あなたを大切に思うこと。

そこが、スタートラインです。

諦めなければ、必ず辿り着けます。

あなたとお子さんの明日が、どうか笑顔でありますように。